NotebookLM、会社で本当に役立つ使い方TOP10 — 「あの人にしか分からない」を無料でなくす
本記事は2026年6月時点の情報です
御社に、「あの人にしか分からない仕事」はいくつあるでしょうか。
ベテランのAさんが休むと、その日の問い合わせが止まる。新人さんから、同じ質問を何度も受ける。現場から上がってくる「これ、どうするんでしたっけ」に、結局いつも社長自身が答えている。
中小企業を回っていると、これは本当にどこでも見る光景です。人を増やせないのに、仕事は増える。だから「分かっている人」に負荷が集中して、その人が現場から抜けられなくなる。
今日は、この「属人化」を、お金をかけずに解いていく話です。
使うのは、Googleが無料で出しているAI、NotebookLM(ノートブック・エルエム)。「便利な使い方TOP10」という形で、10位から順に紹介します。各順位に、実際の操作手順とそのまま使えるプロンプト例、そして「何がどう変わるか」まで付けました。読み終わったら、その日のうちに1つ試せる状態を目指します。
プログラミングの知識も、特別な契約も要りません。Googleアカウントが1つあれば、今日から無料で始められます。
NotebookLMとは — 出典を必ず見せる、正直な新入社員
ChatGPTを使ったことがある方は、こんな経験があると思います。それっぽい答えは返ってくるけれど、よく確認すると事実と違っている。いわゆる「もっともらしい嘘」です。物知りだけど、たまに自信満々で知ったかぶりをする。そういうAIです。
NotebookLMは、性格が正反対です。
NotebookLMには、まず自社の資料を渡します。マニュアル、就業規則、議事録、商品カタログ、ベテランが書いたメモ。PDFでも、Wordでも、テキストでも、音声ファイルでも構いません。そのうえで質問すると、渡した資料の中身だけを根拠に答えてくれます。
しかも、答えの横に「これは、この資料のここに書いてあります」と引用元を必ず付けてくれる。
例えるなら、ChatGPTが「世の中のことを何でも知っている物知りな人」だとすれば、NotebookLMは「あなたが渡した資料しか読まない、でも出典を必ず見せてくれる、正直な新入社員」です。
この「出典が付く」という性質が、実務ではとても大きい。AIの答えをそのまま信じるのではなく、気になったらその場で元資料に戻って確認できるからです。“信じる”のではなく”確認できる”。経営判断やお客様対応で使うなら、ここが決定的に違います。
なぜ、中小企業にこそ効くのか
「自社の資料を読み込ませて、それに基づいて答えさせる」という仕組みは、実は最近まで、それなりにお金のかかる話でした。専門の業者に頼んで作ると、数十万円から数百万円。中小企業が気軽に手を出せるものではありませんでした。
それが、NotebookLMでは無料でできます。専門人材も、初期投資も要りません。
そして、中小企業がAIに踏み出せない一番の理由は、たいてい「何から始めればいいか分からない」です。高機能なAIを前にして、結局メール返信くらいにしか使えていない。試してはみたけれど、定着せずに終わる。そういう会社をたくさん見てきました。
NotebookLMの良いところは、入り口が「資料を放り込んで、日本語で聞くだけ」という点です。賢く使いこなす技術は要りません。だからこそ、AIに苦手意識のある会社でも、最初の一歩を踏み出しやすい。
まず覚える、基本操作(これだけ)
具体的な使い方に入る前に、操作の土台だけ押さえます。NotebookLMは、どの使い方も同じ3ステップです。
- ブラウザで notebooklm.google.com を開き、Googleアカウントでログインして「新規作成(新しいノートブック)」を押す
- 「ソースを追加」から、資料を入れる。PDF、Googleドキュメント、テキスト、Webページ(URL貼り付け)、音声ファイルなどに対応しています
- 画面下のチャット欄に、日本語で質問する
答えには小さな番号(引用マーク)が付きます。クリックすると、元資料の「どこに書いてあるか」までジャンプできます。
これだけです。以下の各順位は、この「①どんな資料を入れて、②どう聞くか(または、どのボタンを押すか)」の具体例です。気になった順位から、実際に試してみてください。
会社で役立つ使い方 TOP10
下にいくほど、つまり1位に近づくほど、社長の悩み「属人化」と「自分の時間」への効き目が大きくなります。
第10位:「あの件、いつ決めたっけ」を一瞬で探す

こんなときに:「あの値上げ、いつ・なぜ決めたんだっけ」と、過去の経緯を思い出せないとき。議事録フォルダを1つずつ開いて探す、あの時間です。
過去の議事録やメモ(GoogleドキュメントやPDF)をまとめてソースに入れ、こう聞きます。
商品Aの価格改定について、いつ・どの会議で・どんな理由で決まったのか、決定の経緯を時系列で教えて。
変わること:議事録を1つずつ開いて15分かけていた確認が、質問して数十秒に。しかも引用マークから、元の議事録の該当箇所をその場で確認できます。記憶に頼って探し回ることがなくなります。
第9位:複雑な資料を、マインドマップで俯瞰する

こんなときに:話があちこちに飛んだ長い議事録や、構造が複雑な企画書の「全体像」を、まずつかみたいとき。
資料をソースに入れたら、画面右の「Studio」パネルから「マインドマップ」を選ぶだけです。チャットで質問しなくても、資料の論点が枝分かれの図に整理されます。枝をクリックすると、さらに細かい中身が開きます。
変わること:何ページも前後に行き来して頭の中で組み立てていた構造が、1枚の図で一目に。どこに何が書いてあるかが、最初の30秒で見渡せます。
第8位:分厚い業界レポート・白書を3分で要約する

こんなときに:何十ページもある業界レポートや白書を、読む時間がないとき。
PDFをソースに入れ、「自社に関係する部分だけ」と絞って聞くのがコツです。
このレポートのうち、従業員10名ほどの小売業に関係する部分だけを抜き出して、要点を5つ、それぞれ2行で要約して。
変わること:全部読んで関係箇所を探していた1時間が、必要なところだけ5分に。読むのではなく、聞いて済ませる感覚に変わります。
第7位:資料を「音声番組」にして、移動中に耳で読む

こんなときに:読む時間は取れないけれど、通勤や移動の時間はある、というとき。
資料をソースに入れ、「Studio」パネルから「音声概要」を生成します。数分待つと、2人のAIがその資料について会話する、ラジオ番組のような音声ができあがります。スマホのNotebookLMアプリに入れておけば、運転中や移動中に聴けます。(日本語で作りたい場合は、出力言語の設定を日本語にしておきます)
変わること:「あとで読もう」と放置していた資料が、移動時間のインプットに。積ん読が、ながら聞きに変わります。(無料版は1日3回ほどまで)
第6位:新人・アルバイトの「質問対応」をAIに任せる

こんなときに:新人から同じ手順を何度も聞かれ、そのたびに先輩の手が止まるとき。
業務手順書や接客マニュアルをソースに入れたノートブックを作り、それを新人に共有します(ノートブックは共有リンクで渡せます)。新人は、分からないことをまずAIに聞きます。
レジ締めの手順を、最初から順番に、初めての人でも分かるように教えて。
変わること:先輩が毎回手を止めて口頭で教えていたのが、新人が自分で聞いて解決できる状態に。教える側の時間と、新人の「聞きづらさ」の両方が減ります。
第5位:顧客・競合の資料から、商談前の準備メモを作る

こんなときに:訪問前の下調べに時間がかかり、つい準備不足のまま商談に向かってしまうとき。
訪問先のWebサイトや会社案内、プレスリリース(URLやPDF)をソースに入れて、こう聞きます。
この会社の事業内容・強み・最近の発表を整理して。商談で使える切り口と、こちらから聞くべき質問を3つずつ出して。
変わること:複数のサイトを巡って書き写していた30分の準備が、移動時間のうちに1枚のメモに。手ぶらで訪問する不安がなくなります。
第4位:契約書・長文資料を「読まずに質問」する

こんなときに:長い契約書や規程の中から、特定の条件だけを今すぐ知りたいとき。
契約書のPDFをソースに入れ、知りたいことをピンポイントで聞きます。
この契約書で、解約の予告期間と、自動更新の条件はどうなっている?根拠になる条文を引用して教えて。
変わること:50ページを頭から読んでいたのが、必要な条項だけ引用つきで即提示。引用マークから原文も確認できるので、「ちゃんと読めていない不安」も残りません。
第3位:ベテランの暗黙知を、引き継げる形にする

ここから上は、属人化に直接効く使い方です。
こんなときに:「この対応はAさんしかできない」という状態を、退職や休職が来る前に解消しておきたいとき。
熟練のAさんの段取りメモ、過去のクレーム対応の記録、トラブル事例の記録をソースに入れます。すると、こう聞けるようになります。
A機械でエラーコードE2が出たとき、過去はどう対処していた?手順と、気をつけるべき点を教えて。
変わること:Aさんが休むと誰も動けなかったのが、記録に聞けば誰でも一次対応できる状態に。退職と一緒に消えるはずだった知識が、会社に残ります。
中小企業の強さは、たいていベテランの経験に支えられています。そこが属人化していると、いざというときに会社が止まる。NotebookLMは、その一番もろい部分を補強してくれます。
第2位:議事録・会議録を、決定事項とToDoに変える

こんなときに:会議は終わったのに「結局、誰が何をやるんだっけ」が曖昧で、議事録が読み返されないまま埋もれていくとき。
過去の議事録をまとめてソースに入れ、こう聞きます。
先月の経営会議で決まったことを、「決定事項」と「やるべきこと(担当・期限つき)」に分けて一覧にして。
変わること:きれいな議事録は残るのに動けなかった状態から、会議のあとすぐ動ける状態へ。決定とToDoが担当・期限つきで一覧になり、「言った言わない」や、やり忘れが減ります。
なお、この議事録活用は、GeminiのGem(ジェム)と組み合わせると、さらに踏み込んだ使い方(未解決の論点だけ洗い出す、相手別に報告書を作り分ける、など)ができます。そちらは別の記事で詳しく書いています。
資料・会議・リサーチ。Geminiを毎日の業務に溶かす3つの使い方
第1位:社内マニュアル・規程を「AI相談窓口」にする

これが本丸です。
こんなときに:「有給って何日もらえる?」「この経費は通る?」といった社内ルールの質問が、総務のAさんや社長に集中し、その人が不在だと止まってしまうとき。
就業規則、業務マニュアル、各種の社内規程をまとめてソースに入れたノートブックを作り、社員みんなに共有します。あとは、誰でもこう聞くだけです。
有給休暇は入社何ヶ月目から付与されますか。付与日数も、根拠になる条文を引用して教えてください。
該当する条文を引用しながら、答えが返ってきます。Aさんに聞かなくても、誰でも、いつでも、同じ答えにたどり着ける。
変わること:ベテランの頭の中だけにあった「金庫」が、全員が出入りできる「共有ライブラリ」に変わります。Aさんは本来の仕事に集中でき、社長も細かい質問対応から解放される。「あの人にしか分からない」が「資料に書いてあって、誰でも聞けば分かる」に変わる。属人化を解くというのは、つまりこういうことです。
注意点を1つだけ。引用元は、大事な判断のときには元資料で確認する習慣を。NotebookLMは出典を見せてくれるので、確認はすぐ終わります。
使う前に知っておきたい、正直な注意点
便利な道具ですが、万能ではありません。導入してがっかりしないために、弱点も正直に書いておきます。
- 入れた資料の外は答えられない。 NotebookLMはネット検索ではありません。最新ニュースや、入れていない情報は答えられない。逆に言えば、だからこそ自社の資料に集中して、余計なことを言わないとも言えます。
- もっともらしい嘘がゼロではない。 出典が付くので確認はしやすいですが、AIである以上、まれに誤りもあります。大事な判断のときは、引用元を必ず確認してください。
- 無料版には利用回数の上限がある。 1日に聞ける回数や、音声番組を作れる回数に制限があります(記事執筆時点で、質問は1日50回・音声は3回ほど)。仕様はよく変わるので、最新は公式サイトでご確認ください。
- 機密情報・顧客の個人情報は入れない。 特に無料版で扱うなら、社外秘の資料や個人情報は避けるのが安全です。会社として本格運用するなら、契約形態やデータの扱いを確認してから進めてください。
どれも、「知っていれば困らない」レベルの話です。最初は、社外秘でない社内マニュアルあたりから試すのがおすすめです。
まず、何を入れればいい? — 最初の一歩を決めるプロンプト
ここまで読んで「うちでも使えそう」と思っても、最後に必ず出てくる壁が「で、最初に何を入れればいいの?」です。
そこで、最初に入れる資料を一緒に考えてくれる「相談プロンプト」を置いておきます。ChatGPTでもGeminiでも構いません。これをそのままコピーして貼り付け、出てくる質問に答えていくだけで、自社で最初にやるべきことが見えてきます。
# 依頼私の会社でNotebookLMに最初に入れるべき資料と、その活用法を提案してください。以下の手順で対話してください。
## 手順1. 以下を1つずつ質問してください。1問ずつ、私の回答を待ってから次に進んでください。 ① 業種・従業員数・あなたの役割(経営者/現場担当/両方) ② 毎日繰り返している事務作業を3つ ③ "あの人にしか分からない"属人化している業務はあるか ④ 新人や部下からよく聞かれる質問は何か
2. 回答が揃ったら、NotebookLMに最初に入れるべき資料トップ3を提案してください。 各資料について以下を含めてください。 - なぜその資料か(どの悩みに効くか) - NotebookLMに入れた後の最初の質問例 - 期待できる効果(属人化解消/時短など)
## 注意点- 一度に複数の質問をしないでください。- 私の業務環境を踏まえた現実的な提案だけしてください。- 機密情報・顧客の個人情報は入れない前提で提案してください。- NotebookLMは最新アップデートで仕様が変わる可能性があるため、 末尾に「最新の機能・制限は公式サイトで確認してください」と添えてください。「何から始めればいいか分からない」という、一番大きな壁。それ自体を、AIとの対話で越えてしまおう、という仕掛けです。
おわりに — 「あの人にしか分からない」を「誰でも聞けば分かる」に
最初の問いに戻ります。御社に、「あの人にしか分からない仕事」はいくつあったでしょうか。
NotebookLMでやっていることは、突き詰めるとシンプルです。賢いAIを使いこなす必要はありません。自社の資料を放り込んで、日本語で聞くだけ。それだけで、ベテランの頭の中にあった知識が、全員が使える形になります。
「あの人にしか分からない」が、「誰でも聞けば分かる」に変わる。
属人化が解けると、何が起きるか。人を増やさなくても、同じ仕事が回るようになります。担当者が休んでも、現場が止まらない。そして何より、社長や役員の時間が、現場の作業対応から、本来の経営の仕事へ戻ってきます。
しかも、ここまでの話は全部、無料でできます。まずは社内マニュアルを1つ、入れてみるところから始めてみてください。

「うちの会社だと、最初に何を入れるのが効果的だろう」「属人化していて困っている業務を、どう仕組みに落とせばいいか相談したい」という場合は、相談に乗ります。30分あれば、現状の業務から、NotebookLMやAIに任せられる部分の見立てと、最初の一歩の選び方まで、ひと通りお伝えできます。
この記事のまとめ
- NotebookLMは、自社の資料を渡すと、その中身だけを根拠に、出典つきで答えてくれる無料のAI
- 操作は3ステップ。「新しいノートブックを作る → 資料を入れる → 日本語で聞く」だけ
- ランキングの上位ほど属人化に効く。1位は社内マニュアル・規程を「AI相談窓口」にすること
- 議事録の要約(2位)、ベテランの暗黙知の引き継ぎ(3位)など、社長業に直結する使い方が多い
- 弱点もある。入れた資料の外は答えられない、回数制限、機密情報は入れない。最初は社内マニュアルから
- 「何を入れればいいか分からない」は、記事内の診断プロンプトを使えば、その場で解決できる
宮内章宏(みやうち あきひろ) 株式会社SmartFlow 代表取締役。AI活用・業務効率化コンサルタント。 Google Workspace と AI を使った仕組み化で、中小企業の業務改善を支援しています。セミナー登壇130回以上、のべ8,000名以上の方にお伝えしてきました。
宮内章宏
株式会社SmartFlow 代表取締役
警察官として7年間勤務した後、IT教育、マーケティング、業務効率化支援の現場を経験してSmartFlowを立ち上げました。